中国のインターネットは金盾と呼ばれる検閲システムに囲まれています。英語圏ではGreat Firewall（略GFW）と呼ばれます。
GoogleやTwitterなどのウェブサービスはIPブロックではじかれて、中国国内からアクセスすることができません。
また、検索時のキーワードでもフィルタリングされる仕組みになっています。習近平主席の外見を揶揄する「プーさん」という語句は検閲に引っかかり、検索結果が表示されません。
この金盾を回避する手っ取り早い手段はVPNです。実際に中国国内では、多くの中国人がVPNを使って金盾を突破する方法で国外のウェブサービスや情報に接触しています。
中国の金盾の仕組み
監視の仕組み
- サイバー警察によるネット監視
- AI（人工知能）や機械学習による検閲
中国の金盾（GFW）は当初、数十万～数百万人とも言われるサイバー警察の24時間体制による監視で運用されていました。
つまり、人の目で、国民のインターネットアクセスをチェックしていたということです。
現在は、AIによる検閲もおこなわれています。端末（スマホやPC）のIPアドレスごとの検索履歴や検索行動を解析して、利用者の政治的傾向を分析できるようになっています。
たとえば「香港」と調べて、さらに「民主化」と調べると、AIによって遮断されます。
遮断の仕組み
- IPブロック・DNSブロック：ブラックリストと照合して、該当するウェブサービス・ウェブサイトへのアクセスを遮断。
- URL・キーワードフィルタ：ブラックリストと照合して、検索ワードまたはURLに該当する語句が含まれていれば遮断。
- ウェブページスキャン：リクエストに応答したページ内容をスキャンして、コンテンツの内容を許容できなければ遮断。
IPやDNSでブロックされるのは、GoogleやTwitterなどのウェブサービス、CNNやBBCなどの報道サイトなどです。
また小規模なサイトであっても、内容をスキャンした結果が好ましくなければブラックリストに追加されていきます。
URL・キーワードフィルタでは、好ましくない語句での検索または応答ページのURLをチェックします。
好ましくない語句とは、中国共産党の政治体制に反する語句や、わいせつな表現なども含まれます。
さらに、IP・DNSブロックやキーワードフィルタを通過した場合でも、そのウェブページの内容（コンテンツ）はスキャンして、許容できるものかどうかを判断します。
遮断の結果は、503エラーまたは404エラーとして返されます。その様子は、あたかも金盾による遮断には見えないような振る舞いとなっています。
エラーの種類
503エラーはサーバー過負荷による閲覧不可のエラー。404エラーはページが存在しない場合のエラー。
中国金盾の禁止ワード一覧
| 禁止ワード | |
|---|---|
| 歴史/事件 | 天安門事件、文化大革命、茉莉花革命、独立運動、元朝、明朝 |
| 政治/主義 | 民主主義、自由主義、マルクス主義、人権、多党制、専制 |
| 地域 | 台湾独立、香港民主化、ウイグル、チベット独立、ダライラマ |
| 人物 | 習近平、毛沢東、秦始皇、袁世凱、劉暁波、金正恩、プーさん |
| サービス | Google、YouTube、Twitter、Instagram、Wikipedia、Facebook、Dropbox、ニコニコ動画、KakaoTalk、WhatsApp、Yahoo!香港 |
| 通信 | VPN、Tor、プロキシ、SSH、Shadowsocks、Socks5 |
| その他 | わいせつな表現に関するワード、麻薬に関するワード |
※北京五輪公式アプリに仕込まれていた禁止ワード（中国語）2442語はこちらで公開されています。
中国金盾の禁止ワードは膨大であり、その一覧を見ることは不可能です。検閲の対象キーワードを知るには、金盾をハッキングするなどの危険な手段を取るしかないでしょう。
しかし、実際に中国でインターネットを使っているときに、遮断されたりエラーが返ってくるキーワードは、経験知として溜まってきます。それが上の表です。
中国共産党の政治体制に反する主義・思想や民主化関連のワード、民主国家のWebサービスが検閲の対象となっています。
通信系のワードについては、中国入国の際に注意が必要です。中国に入国してしまうと通信系のワードも検索できないため、当然、サービスの契約もできない状態に陥ります。
たとえば中国へ入国したあとにVPNと契約するのはなかなかの困難です。入国する前に、日本に居るうちに契約しておかなければなりません。
プーさんは検索できない
中国ではキーワード「プーさん」の検索が禁止されており、検閲で引っかかって検索できません。
これは、習近平国家主席の外見がプーさんに似ているからというのが理由です。習近平国家主席が就任したとき、すぐさまネット上では外見が「プーさん」に似ていると話題になりました。
それ以来、ことあるごとにコラ画像などでイジられています。
そっくりです笑
プーさんの映画は上映禁止となっており、SNSでもプーさんの投稿画像はことごとく消されてしまいます。
中国金盾を回避できるVPN
- 中国のお国柄を理解している国で運営しているVPN
- 中国側がおこなう通信遮断に対応できるVPN
- サーバー設置国と台数が多いVPN
中国の金盾（GFW）を回避できるVPNとは、まず中国のお国柄を理解していて、情勢・動向を掴むことができる国で運営しているVPNです。
日本は、地理的に中国とも近く、（嫌がらせを含めて）長い付き合いがあります。お国柄を理解しており、情勢・動向にも敏感です。
それで、中国金盾の回避に推奨するのは日本社のVPNということになります。
日本社のVPNは、中国の通信遮断に機敏に対応しています。不通の状態が長く続くことはありません。また、不通や不具合にはサポートが日本語で対応してくれます。
ただし、世界規模で運営する有名VPNよりも、サーバー設置台数は少ないです。でも、ユーザーが日本人にほぼ限られるので不満はありません。
中国金盾を回避できる日本社のVPNは、こちらの記事で紹介しています。
まとめ
- 中国金盾の禁止ワードは膨大であり、その一覧を見ることは不可能。
- 中国共産党の政治体制に反する主義・思想や民主化関連のワード、民主国家のWebサービスが検閲の対象となっている。
- 中国の金盾（GFW）を回避できるVPNとは、まず中国のお国柄を理解していて、情勢・動向を掴むことができる国で運営しているVPN。
- 日本社のVPNは、中国の通信遮断に機敏に対応している。また、不通や不具合にはサポートが日本語で対応してくれる。
- 金盾を回避する手っ取り早い手段はVPN。実際に中国国内では、多くの中国人がVPNを使って金盾を突破する方法で国外のウェブサービスや情報に接触している。