中国は、GFWによってインターネット規制されており、インターネットの自由はありません。LINEやGoogleなどは利用できず、検索できるワードも規制されています。
※GFW:グレートファイアウォール。中国のネット検閲システム。
中国政府の監視下におかれた中国のネット社会は「ネチズン刑務所」とも揶揄されています。
なぜインターネット規制されているのか。歴史からひも解いていくと理由が見えてきます。
中国のGFWをVPNで突破する方法があるので、中国に行く予定がある人は出国までに準備しておくと良いでしょう。
中国のネット規制の歴史
中国のインターネット規制の歴史は、民主化を忌避する中国共産党の政策に表れています。
- 1989/06:天安門事件。数年前から高まりを見せてきた民主化運動のデモで天安門広場に集まっていた市民・学生を、中国人民解放軍が兵士や戦車で武力鎮圧。多数の市民が犠牲になった。
- 1995/01:中国郵電部が商用インターネットサービスを提供開始。
- 1996/02:中国政府が『インターネット国際接続管理暫定規則』を公布。この中で「独自に国際接続用の他のチャネルを確立したり使用してはならない。(第六条)」と規定。
- 1998/03:郵電部が廃止され、公共ネットワークの管理は情報産業部に引き継がれる。
- 1998/09:国家公安部がインターネット検閲システム金盾(GreatFirewall)の計画を決定する。
- 2003/12:金盾が稼働を開始する。
- 2008/03:情報産業部が工業情報化部に統合され、工業情報化部が公共ネットワーク(およびインターネット)の管理責任部門となる。
- 2017/01:工業情報化部が『インターネット接続サービス市場の整理と規制に関する通知』を発表する。中国のインターネット規制を強く懸念する各国において「中国がVPNを全面的に禁止」と曲解した報道がなされる。
- 2017/06:サイバーセキュリティ法(网络安全法とも)が施行される。
- 2017/07:米国の情報通信会社Bloombergが、「中国政府が通信事業者に対し2018年2月までに個人のVPN接続を遮断するよう通達していた」と報道する。これに対し、工業情報化部が「そのような通達は行っておらず、報道は事実に反する」と否定する。
- 2019/01:VPN接続で海外ネットワークにアクセスした個人に対する最初の処罰がネット上で明るみに出る。以降、同違法行為を犯した中国人の処罰が度々報じられるようになる。
※中国の政府機関における「部」は日本の「省」にあたる。
なぜ中国はネット規制するのか
- 天安門事件のような民主化運動を恐れている。
- 国民を情報統制しておきたい。
- 民主主義国家の情報にも触れさせたくない。
なぜ中国はインターネット規制するのか、それは中国共産党が政権を堅持していくためというのが最たる理由と言ってよいでしょう。
1989年6月4日は、中国共産党にとって危機を乗り切った日でした。天安門事件です。活発になる民主化運動のなかで天安門広場に集結した市民・学生を反政府分子とみなして、兵士や戦車を出動して武力で鎮圧しました。
中国共産党は、党政策の対極にある民主主義に国民が接触する機会を根絶する向きへ舵を切ります。
ところが1990年代になるとインターネットが普及し始めます。中国共産党にとって、またしても不都合な流れが生まれました。
そこで、国民がインターネット上で民主化運動したり、反政府的な情報を発信できないようにするためにインターネット検閲システムを計画します。
そして2003年12月から、インターネット検閲システム「金盾」が稼働しました。
中国のインターネット規制が体を成したのはこのときからですが、中国共産党は国民が民主主義に触れたり進んだりすることを常に警戒しており、それがインターネット規制を敷くもっともな理由となっているわけです。
中国ネット規制の仕組み
中国のインターネット規制の仕組みを簡潔に表すと、IP・DNSブラックリストの監視、規制キーワードの監視で成り立っています。
IP・DNSとは
IPとはインターネット上の機器に割り当てられた住所番地にあたるもの。DNS(DomainNameSystem)はIPと紐づけてWebサイトやコンテンツを管理するシステム。
IP・DNSブラックリストに含まれている具体的なサービスには、LINE、Google(Gmailなど)、Facebook、Twitter、Instagram、YouTube、Dropboxなどがあります。
規制キーワードには、中国政府や共産党の思想に反する類の言葉や、自由主義・民主主義を連想する言葉などが多数含まれています。
これらの監視・検閲は、数万人にもおよぶサイバー警察官によって24時間体制でおこなわれていましたが、現在はコンピューターによる人工知能や機械学習も利用されるようになっています。
中国ネット規制の回避方法
- VPN:サービスプロバイダが多く、スマホアプリが用意されているため手軽で扱いやすい。
- プロキシ:プロキシサーバー経由でIPを匿名化する。知識が必要。
- Tor:Torブラウザを使用してIPを偽装する。最近は回避できないことが多い。
- SSH/ShadowSocks:安全性は高いが、サービスプロバイダがほとんど無い。
中国のネット規制の回避方法として、一般的に広く使われているのがVPNです。
VPNは、インターネット通信をトンネル化(秘匿化)してプライバシー保護する技術です。近年はリモートワークでよく使われるようになったので、実際に使用したことがある人もいるかもしれません。
VPN接続で確立された通信チャネルは、その強固な秘匿性によって中国のネット規制の壁を突破できます。
まとめ
- 中国のインターネット規制の歴史は、民主化を忌避する中国共産党の政策に表れている。
- なぜ中国はインターネット規制するのか、それは中国共産党が政権を堅持していくためというのが最たる理由。
- 中国のインターネット規制の仕組みを簡潔に表すと、IP・DNSブラックリストの監視、規制キーワードの監視で成り立っている。
- 中国ではキーワード「プーさん」が検閲に引っかかり、検索できない。
- 中国のネット規制の回避方法として、一般的に広く使われているのがVPN。サービスプロバイダが多く、スマホアプリが用意されているため手軽で扱いやすい。
- 中国のGFWをVPNで突破する方法があるので、中国に行く予定がある人は出国までに準備しておくと良い。